記述的商標が登録できない理由

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記述的商標(商標法3条1項3号)

商標法3条1項3号では、商品の産地、原材料、用途などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、登録ができない旨を定めています。商標出願の実務において、非常に多い拒絶理由の一つです。

産地や販売地はみんなが使用したい

大阪、神戸、東京などという地名については、何人も広く使用したいと考えるのが通常です。ところが、大阪〇〇というような商標を誰かが先に権利取得してしまうと、第三者はこのような商標を使用することができなくなります。

そうすると、第三者が商標を使用する範囲が著しく制限されてしまい、ひいては社会経済活動を阻害する可能制すら生じてくるといえます。

そのような弊害を防止するため、商標法3条1項3号では商品の産地、原材料、用途などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標を登録できない商標として定めているのです。

例外として地域団体商標もある

もっとも、地名と商品名との組み合わせによる商標であっても、所定の要件を満たせば、地域団体商標として登録することは可能となります。

商標法3条1項3号
その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

商標法4条1項16号との関係

また、商品の品質のみを組み合わせた商標は、後述する4条1項16号の拒絶と合わせて通知されることもあります。

例えば、納豆入りの餃子について、商品「納豆」、商標「納豆餃子」として、商標出願をしても商標法3条1項3号に該当するとして、商標登録されることは難しいと思われます(H26.1現在、IPDLで商標「納豆餃子」は見つかりませんでした) 。

また、仮に3条1項3号の要件をクリアしたとしても、この商標を広く「餃子」に使用すると品質誤認を生じさせてしまいます。例えば、普通のミンチ肉入りの餃子に対して、「納豆餃子」とする商標を使用すれば、お客さんは混乱してしまいます。

品質誤認(商標法4条1項16号)の所でも説明をしますが、そのような場合には、指定商品を「納豆入りの餃子」として出願しなければなりません。